株式会社日本フードエコロジーセンターは、余剰食品や売れ残りなどの食品廃棄物を原料にして、家畜用の飼料を製造している会社(神奈川県相模原市)です。
第2回ジャパンSDGsアワード 内閣総理大臣賞に選ばれた「株式会社日本フードエコロジーセンター」は、食品廃棄物を有効活用するリキッド発酵飼料(リキット・エコフィード)を開発し、廃棄物処理業と飼料製造業の2つの側面を持つ新たなビジネスモデルを実現しました。
また、第二回『食品産業もったいない賞』の食料産業局長賞も受賞しました。
株式会社日本フードエコロジーセンターでは、食料廃棄物で畜産経営の問題解決をする経営を目指しています。
同社の事業の仕組みの社会価値が高いのは、まず社会課題となっている『食品ロス』を利用して養豚場の餌を作り、農家に格安で提供することで、食品ロスを出してしまっていた事業者のリサイクルを助け、処理費のコストダウンを実現するのと同時に、農家にとっては海外の割高な飼料からエサ代を抑えることができている点です。
経済合理性のある循環の環=「リサイクル・ループ」の構築は国内外で高く評価されています。
日本では自治体で焼却されるごみの半分が食品で、しかも燃やすために多量の化石燃料を使用しています。さらに、焼却費はトン当たり4〜5万円もかかっています。
一方、畜産経営はエサを輸入穀物に依存し、例えば養豚では6割がエサ代に消えます。ここにリキッド発酵飼料のテクノロジーを入れて、問題解決を図りたいと思いたったのが始まりです。
現在この工場では1日39トンの廃棄物の受け入れ能力があり、365日毎日稼働しています。提携している運搬業者が、スーパーや百貨店などの契約先から日々食品廃棄物を搬入します。
廃棄物と言っても売れ残りのパンやご飯、キャベツなど野菜の切り落とし部分で、残飯は含まれません。バーコードのついている廃棄物回収容器ごとに計量して、この情報から廃棄物の内容を把握します。
こうして回収した廃棄物は、異物混入がないか確認してから破砕処理を行った後、殺菌消毒、乳酸発酵処理、というプロセスを踏むとリキッド(粥状)発酵飼料が出来上がり、これを専用タンクローリーにつめて豚舎へ出荷という流れになっています。
また、高齢者と障がい者の雇用、障がい者就労支援施設及びシルバー人材センターに一部業務を委託もしています。
現在の日本では、毎日食品工場から約1トンの食品ロスが発生してしまっている状況です。
コンビニやスーパーで廃棄されてしまう食べ物を独自の技術で飼料化し、その肥料を養豚農家に安く供給する取り組みは、廃棄されて無駄になってしまうはずであったゴミが、養豚農家で必要な肥料になる訳ですから、まさにSDGsの理念にあったものです。
2、飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する
3、あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
7、すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
8、すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する
12、持続可能な消費と生産のパターンを確保する
13、気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
17、持続可能な開発に向けてグローバル・パートナーシップを活性化する